機微(きび)
今日は、お店を閉めてからの訪問者があった。
40年近くお会いしていなかったが、一つ上の大学の同じ下宿の先輩だ。
共同便所、共同風呂、共同の炊事場の下宿で暮らした。
学部は違ったが、何かと新しい人類との遭遇のようなインパクトを感じた方だ。
どこか捉えどころがなく、掴もうとすると消えてなくなるような不思議な方である。
今日も、出会うなり、私にピンマイクをつけられて、「そのままでの所作でよろしい、もう会えるかもわからないから、記録に残す」と、ムービーカメラ全開よろしく、私と私のお店を撮影し、気がつくと車に乗って「じゃ」って言っていなくなった。
でも、それらはあの学生時代と全く変わらず、私は「そうだな」と妙に納得した。
それぞれの人生の歩みに、それぞれの道程があり、またどこかへ向かって、お互いに船出する。
そんな事を、思わせるところは、やはり味わい深い先輩である。
願わくば、健やかにと記しておきたい。
感謝である。