豊漁
さくらが咲く、海辺の境港である。
季節ごとに、旬の魚介が楽しめる港町、境港市。
豊かさをたたえて走る漁船に、水鳥たちも群れる。
今日、半日を海辺で過ごした。久しぶりにゆっくりとした休日だ。
堤防には、釣りを楽しむ人々が並んで立っていて、その仕草や動きを見ているだけでも心が和む。
11年前の首都圏の生活とは、かなりかけ離れたロハスな生活だと、海辺の風景を眺めながら想う。
30年前、東京の井の頭線の終着駅の渋谷で、忙しそうに切符を切る駅員さんを見ながら、忙しげな東京の風景に圧倒されていた若き日の自分を思い出した。
若かったあの頃の私は、ゆっくりと辺りを見渡し、周りを俯瞰しながら自分を見つめる余裕もなく、一分一秒を緊張して生きていた。
そんな私が流れながれて、今があり、ゆっくりと釣り人を眺めている。
人生には、用意されたいくつかのステージがあるのだと、自身の道程を噛みしめる。
家から持ってきた、深入りブレンドをカップに入れて、ほろ苦いコーヒーブレイクを楽しんだ。